私達は『食べること』と『野菜』、

この二つが持つ意味に強い関心とこだわりを持っています。

 

 伊和香の出店は、この二つが持つ意味を考えることからスタートしました。


私達の考えと想い

※スマートフォンをご使用の方は、画面を横にしてご覧ください。

 現在、日本人は豊富な食料を背景に、食べ物の「美味しさ」を追求し続けています。

美味しものを食べれば幸せな気持ちになれます。


 これまで私達は料理だけではなく、お客様へ与える栄養やそれに係ることに数多く触れてきました。同時に「美味しさ」のみを追求し続ける事が本当に良いことなのか、強い疑問を抱くようになってきました。


 栄養学的に『食べる』行為は、体内で作れない微量栄養素の補給、体の細胞を造る(再生)、エネルギーを生み出す、と言った体内活動で必要とする栄養の摂取行動と言えます。

 人体の細胞の数は約60兆個で、単純計算すれば、毎日1兆個の細胞が入れ替わり、1ヶ月で30兆個、2ヶ月で60兆個が新しい細胞になっていると言われています。

食べること

 食べることで意識的な欲求を満たすだけではなく、

体の要求も満たす必要があると考えました。

 

  厳選した食材のみを使用

  

  手作り(衛生的に許す限り)

 

  シンプル且つ深みのある味わいを追求

 

3つのこだわり

 毎日食べることを考えたとき、まず思い浮かぶのは「お米」ではないでしょうか。

お米は「農家」さんが手間暇かけて作ってくれているのですが、飽食の時代が続く中、作り手に対する意識は希薄になってきているように感じます。

 私達が住む日本の食糧自給率(カロリーベース)と言えば、農水省発表では二〇二〇年度37%と過去最低を更新しています。調査開始一九六五年は73%と現在よりはるかに高い水準でした。

 畜産の餌となる飼料も輸入が約9割を占め、身近な鶏卵を含み純国産と言えるものはごく僅かなのかも知れません。

自給率

 農業人口は年を追う毎に大きく減少していて、高齢化と後継者不足により廃業を選択する農家が後を絶たず、耕作放棄地の増加も深刻のようです。

 農業就業者数について農水省発表では二〇〇〇年389万人に対し、二〇二一年には約156万人、何とこの二一年間で約60%も農家さんが減少しています。

ではなぜ後継者不足に悩むのでしょうか。

 それは「低所得と安定性の欠如」を根底とする、とても複雑で難しい問題を抱えています。

農家減少

「日本の農業は世界一保護されている」とよく耳にしますが、「農家所得に対する公的助成」が占める割合(※)をみると、事実は大きく違ってきます。

二〇一三年度時点で「スイス100%」、「フランス95%」、「イギリス91%」、「アメリカ40%(※2)」に対し、日本は15%。

スイスやフランスの農家は事実上公務員とも言えそうで、かなり手厚い扱いを受けているようです。

 日本では補助金の付け替え等があったとしても、二〇一八年に減反政策(米の生産抑制に対する補助制度)も廃止。

更に世界との各差が開いていることは容易に想像できます。

農業保護と格差

(※)アメリカは産業が多様で、数値以上の補助がなされています

ではなぜ他国はこれほどまでに農業を保護しているのか。

「所得の安定」を促し「農家を継続、技術継承」させ、「自国民を食べ物に困らせない(飢餓を遠ざける)」環境を整えるためではないでしょうか。これら以外にも、国家安全保障上重要な役割を果たしていることが伺えます。

 『農業は経験に裏付けされた技術』であり、廃業はその紡いできた技術の終わりを意味するのでしょうか。

 他国には、広大な平地と潤沢な公的補助、そして安定した需要があります。

 対する日本は山が連なり平地は限定的で需要はあるものの輸入が多く分散しています。そして賛否はありますが、所得に対する公的比率は低く、価格は市場任せで乱高下を繰り返し、更に他国との競争を強いられています。

 俯瞰すると、日本の農家が廃業を選択するのも合理的に思えてきます。

合理的判断

 日本は冷凍などの加工品用を含めると、じゃが芋や大根、ほうれん草、小松菜、春菊など、一般に知られる野菜のほぼ全てを中国や東南アジアを中心に世界各地から大量に輸入しています。輸出規制(※)や、海上交通路の問題でこれらの輸入品全てがストップした場合、どのような事態となるのでしょうか。国産切替へ向かうものの生産に余裕がないため需給バランスを崩し、価格は高騰、混乱を招くことが容易に想像できます。一過性ではなく、長期的で安定した需要に転じれば、次第に生産力を取り戻すようになり、消費者の私達にも恩恵がありそうです。

(※)コロナパンデミック時、約21か国で食糧の輸出規制を発表

野菜の需給

 昨今AIによるスマート農業や企業参入により、高い生産性を求め技術開発が進みつつありますが、まだまだ課題も山積みのようです。

 生産量を高めるための手段として、アメリカ企業を筆頭に遺伝子組換え(以降GM※)作物が盛んに開発されてきました。しかし、後世にどのような影響を与えるかは未知な部分が多く、EU等では厳しい監視体制でトレサビリティの確保に務めています。フランスやイタリアなどで僅かに流通しているようですが、ほとんどが畜産の飼料用のようです。

 日本ではGM栽培は許されていませんが、大量に輸入しており、「世界一GM食品を食べている国」と言われています。二〇二三年度から「遺伝子組換え表示制度」が改正され表示基準は厳格化されますが、「遺伝子組換えでない」表示は一層難しくなり、かなりの製品で非表示になるとの見方が強いようです。

安全性

(※)GM=Genetically Modified

 アメリカの農家は、日本向けの小麦に「グリホサート(※)」という名の除草剤を雑草ではなく収穫前に「直接」散布しています。

更に、日本では禁止されている収穫後にも防腐剤を使用。多く残留したものを輸入し、私達は日々大量に消費しています。ここでも「日本が世界で一番」残留農薬を摂取している国と言われています。

(※)グリホサート、発癌性や人体の腸内細菌を殺し、様々な疾患を誘発する懸念が指摘されている

令和元年度の小麦自給率16%、国別輸入比率でアメリカ47%約半数を占める

農薬

Mountain Range Illustration

 日々食べられることに感謝しています

  

 世界はあまりにも大きく、一人が出来ることはほんの僅か

 

 感謝を表すために、何ができるか


 「需要をつくる」


 この自然広がる豊能の大地で


 食を通じて元気で暮せる時間を増やしたい


 そのような想いを込めて、お届けします


できること

農林水産省統計(農業労働力に関する統計)https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html

農業保護と格差、安全性 

東京大学大学院農学生命研究科鈴木宣弘教授著書(農業消滅)

遺伝子組換え(消費者庁食品表示企画課レポート) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/pdf/genetically_modified_food_170426_0007.pdf


参考